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最高に笑える人生 曽野綾子


私は或る一つの小説を、全く一瞬のうちに『思いついた』ことが今までに何度もある。短編はほんとうに一秒でできるのだ。
 たとえば「農夫の朝食」という短編を例に取って話すことにしよう。

これもある瞬間、そうだ、アル中の農夫がフランスの田舎町のレストランで、朝から働きもせずワインを飲んでいるところから始めよう、と思いついたとたんに、全体ができたのである。短編が一筆書きだと思うのは、多分そういう理由からだろう。

・・一瞬で短編ができるというのは誇張ではない。ほんとうに一秒のうちに、ぱっと起承転結、細部までが見えるのである。後はただ、頭の中でできた世界を、昔は万年筆、次なる時代はボールペン、今はワープロで紙の上に書き写す作業が残っているだけだ。
 
しかしほんとうにその筋は一瞬で思いつけたのだろうか。「農夫の朝食」の場合、そこにはいくつかの体験がつづられている。

・・短編というものは、確かに一瞬のうちにできるのだが、その背後に蓄積されていたものには、長い年月がかかっていると言わなければ、またこれも嘘になるだろう。

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 2019_02_28





夫にとって妻の死が恐ろしいのは、正直に言って精神面だけではないだろう。

先に述べたように男たちの中には、家事が全くできないのが多いのだ。半分興味、半分実用で学ぼうとする気もない頑なな人も多いのである。だからその男は、妻がいなくては、精神的だけではなく、肉体的にも生きて行けない不自由人なのである。

私の実感によれば、料理というものはほんとうは死ぬまで続く奥の深い実用的な芸術である。私は最近になってますますその感を強くしている。

境野氏によれば、「少欲」「知足」「精進」だそうだ。ほんとうにすばらしい3つの要素である。

私は前の二つはわりとうまい。最後の一つは完全でない。「努力する人間は嫌いだ。自然にやれ」という趣味の夫と結婚してしまったからである。もっともそれでは食べて行けなくなるかも知れない、という恐怖から、私は少し働き者として生きてきた。これも、怠け者の夫に洗脳されかかったからやや働き者が生まれた、という皮肉な結果である。

・・皮肉にも、本でさえ読み過ぎると、読書人にはなるが、著作人にはなれない。これも私の永遠の悩みだ。

 2019_02_27




ことに老年にとって「目立たないこと」は、明らかに美徳と言ってよい。

私は毎年、障害者や高齢者を含めた外国旅行をしているが、その中で性格のいい人と健康な人は、瞬間的には目だたないものだ、ということを発見した。

・・健康な人は、グループの中で、遅れもせず、階段の上り下りに危険も感じさせないから、とにかく目だたないのである。後からじんわりと、これはすごいことだ、と思うだけだ。

 誰でも、たとえ心にどんな悲しみを持っていようが、うなだれずに普通に背を伸ばして歩き、普通に食べ、見知らぬ人に会えば微笑する。それこそが、輝くような老年というものだ。

馬齢を重ねたのでないならば、心にもない嘘一つつけなくてどうする、というものだ。この内心と外面の乖離を可能にするものこそ、人間の精神力なのだろう。それは雄々しさといっていいかもしれない。

 2019_02_26


生きる姿勢 曽野綾子


私は土いじりが好きで、今でも月のうちの四分の一くらいは、海の傍らの畑付きの家で暮らしているが、それは私が逃亡者の心理状態になっている時で、他の時は徹底して町が好きである。それもできるだけ大きい都市の、人のたくさん集まる場所こそ居心地がいいように感じる。

 大都市の機能のすばらしさは、個人の放つ毒が薄まるような気がするからである。
一対一で向かい合っていると、私の悪癖はもろに相手にぶつかって迷惑をかけるだろう。
しかし大都会の雑踏の中では、私がどんな人間かなどということは誰も知らないから問題にならない。

中年以後になって、私は物でも人の才能でも使い切ることをみごとと感じるようになっていた。
・・作る単純な仕事はどんどんなくなって、その代わり、人間はもっと創造的な部分を受け持つようになった。そればできなければ存在価値がなくなりつつある。

・・ロボットが掃除までしてくれる時代になると、人間はますます自分で考えなけれべ存在価値のない生き方になる。そのためにはコンピューターの前にいるだけではだめだろう。読書が改めて強力な想像力を発揮する時代になるだろう、と私は思っている。

 2019_02_25


生きる姿勢 曽野綾子


私は修道院の経営する学校に育ったので、西洋のカトリックの修道生活というものを幼い時からごく身近に見て育った。・・教えられることはたくさんあった。

沈黙には大きな精神上の効果があること。不必要なものを身辺におかない癖をつけること。
いつも身辺を生活に掃除しておくこと。衣服は清潔で繕ってあれば、古くてもいい・・・というような感覚も身につけてもらった。

カトリックは離婚を禁じている。しかし私は乳と母の生活を見ていて、離婚はすべきだと感じていた。
お互いに見える距離、声の聞こえる範囲にいなければ、憎まなくて済むのである。

だから子供の私が60歳を過ぎた父母に離婚を勧め、母に言わせればもらうべき理由のあるわずかな財産も母にその権利を放棄させて、一文無しになった母を私が引き取った。
何かをしたい時には、必ずそのために対価を払わねばならない、と私は思う性格だったのである。

・・・人間の仕事というものは、ほんとうはすべて命を賭けるものだ、という思いが、今の私には強い。

時々、講演のときなどに、「言葉はもっとも温和な武器です」と言うことがある。

・・私はいろいろと心理的な範囲の悪事は体験したことがあるような気がしているが、(それだからこそ、小説を書けるというものなのだ)まだ実際の武器をつかったこともないし、相手を平手打ちにせよ殴ったこともない。つまり幸運だったのである。


 2019_02_24


生きる姿勢 曽野綾子


いい生涯を見出すには、まず自分をよく知ることだ。自分と他人とは決して同じではない。
だから、どこが違うかを過不足なく承認することからすべては始まる。簡単なようだが、それさえもできない若者が多すぎるのはどうしてだろう。

似合おうが似合わなかろうが流行の服を着、日本に生まれて日本に育ちながら日本語さえまともに喋れず書けない。

・・人との違いさえわかれば、次の段階が自然に見えてくる。自分の短所ではなく、長所を伸ばせばいいのだ。

人と付き合うことが好きならその点を、一人でいることが好きならその性癖を、体が丈夫なら肉体労働を、生かせるような仕事を探せばいいのである。人間、自分の得意なことをするのが一番幸福だ。

・・才能においても自分を伸ばし、職業においても得意の分野で働くことなのである。それが自分が自分自身の主人になる方法なのである。

「友のために死ぬ。これより大きな愛はない」と聖書は書く。これを受け入れるかどうかは、個人の美学の領域だ。
死んでは損、余計に払うのは損、だからしない、という反応しか見せない日本人は、損の中に生きがいや人間性を見出せるとは思わない。また与える幸福もあるとは信じない。
 2019_02_23




 60歳の還暦という区切りはなかないいもので、私はその年でたくさんのものから撤退した。
私は当時はまだ、体力はかなりあるつもりだったけれど、生きて人間らしく働ける人生の持ち時間がたくさんあると過信できる年ではない。だから、義理を欠くことにしたのである。

・・もともと私が出版記念会とか、受賞祝賀会とか、お誕生会とかにほとんど行かなかったのは、昔から人中に出るのが怖い、という一種の病的な恐怖症があったからで、決して欠席通知を出した人が嫌いだからではなかった。

私は親しい友達もたくさんいて、よく知っている仲の人たちと数人で細々と会うことは大好きなのだが、いわゆる社交というものが苦手だったのである。

・・「むりして、来ないでね」という言葉が言える人間関係がほんとうに優しいのだ、と私は思うが、義理を欠くくらいなら死んだ方がましだと思う人も世間にはいるのだということも承知している。

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 2019_02_22




幸福になる秘訣は「あるもの(自分に与えられているもの)を数えて喜んで生きる」ことなのだ。しかし多くの人が「ないもの(自分に与えられていないもの)を数えて不服を言う」。

・・人はその数だけ、特殊な使命を持っている。誰ひとりとして要らない人はいない。そのことをはっきり自覚し、自分に与えられた運命の範囲を受諾し、そのために働き、決して他人をうらやまない暮らしをすれば、誰でも今いる場所で輝くようになる。


私たちは相手を完全に理解することなく付き合い、心の奥底までをわからないままに死んでいく。その虚しさを、私は最近、自然で優しい関係だと思うようになったのだ。

 友達と付き合う時、だから、深く相手のことを考えず、相手の望むことだけをしようと思う。
そして最後まで相手を深く恨んだり、相手の迷惑も考えずに深く愛したりせず、静かに無言で死んで別れて生きたいと思う。
 それができれば、多分私の生涯は、成功だったのではないかとさえ思うのである。



 2019_02_21


謝罪の時代 曽野綾子


 もしも私が××であったら、という仮定形でものを考えられるということは、教育の恩恵であるらしい、ということを私は次第にわかってきた。

アフリカの文字も読めない人々は、百年後にこの村はどうなっているだろうとか、利率年百パーセントで高利貸しのお金を100円借りたら、3ヶ月後にはどれだけの額になるか、ということをほとんど考えられない。

同様にこの木は50年後には非常に高く売れる木材に成長するのだから大切に育てなさいと言われても、気が変わればすぐに苗木を切って今晩の炊事用の燃料にしてしまう。
歴史を習ったこともなく、家にカレンダーもなく、自分の年も知らなければ、50年という架空の年月を想像できないのである。

 中近東の熱い気候の中で今日のお金儲けにだけ心を費やしている人たちは、自分の明日の予定を立てる作業にさえ馴れていない、という人もいる。

・・暑さのもたらすもっとも大きな心理的変化は、人間が刹那的になるということだ。長い時間をかけて一つの命題を追うという作業に耐えられなくなる。・・明日に備えるなどという操作が不可能になるのである。

 その時初めて私は人工的な冷房の設備があるということが、人間を思考型に変えるのだということを実感したのである。

・・動物としてならかなり苛酷な状態でも生きられる。しかしほんとうに暑かったら、夜も眠れない。思考もできない。学問的な推理も不可能になる。読書の気力も失われる。酷暑というのはそういうものだ。そのようなロスを政治はやなり考えるべきだろう。
 

 2019_02_20


謝罪の時代 曽野綾子


「主よ、私が空腹を覚えるとき パンを分ける相手に出会わせてください。
のどが渇くとき 飲み物を分ける相手に出会えますように。

寒さをかんじるとき 温めてあげる相手に出会わせてください」マザーテレサは祈りを続ける。

「ひまがなくなるとき 時間を割いてあげる相手に出会えますように。
私が屈辱を味わう時 だれかを褒めてあげられますように。
気がめいる時 だれかを力づけてあげられますように。

理解しもらいたいとき 理解してあげる相手に出会えますように。
かまってもらいたいとき かまってあげられる相手に出会わせて下さい。
私が自分のことしか頭にないとき 私の関心が他人にも向きますように。
 
空腹と貧困の中に生き そして死んでいく余の兄弟姉妹に 奉仕するに値する者となれますように。
主よ、私をお助け下さい」

 2019_02_19



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歴24年,個人エステサロン

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老舗店をめざして精進してゆきますので、今後もご贔屓どうぞよろしくお願い申し上げます(^^)ご新規、一見さんも歓迎です☆ なお、記事は全てセラピストの妹の日記です。セラピストは別の人で、記事は書いておりません。元気でいつもお店にいますのでご心配なく!

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